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陸前高田野球教室
開催日時: | 2017年6月24日~2017年6月25日 |
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レポート (2017年6月28日公開)
2012年5月、岩手県陸前高田市と立教大学は連携及び交流に関する協定を締結しました。この協定に基づき、立教大学はさまざまな復興支援活動に取り組んでいます。具体的な取り組みのひとつにスポーツ交流プログラムがあり、2012年より小・中学生を対象とした「野球教室」を開催しています。
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6月25日(日)、陸前高田市立第一中学校仮設グラウンドにて、市内の中学生を対象とした野球教室を行いました。陸前高田市での野球教室は今年で六回目の開催となりました。今年は弊部の部員25名(うち東北出身者10名)が参加し、高田東中学校・第一中学校・気仙中学校の3校合わせて73名の中学生と共に汗を流しました。
24日(土)に陸前高田市に入り、東日本大震災による大津波によって壊滅的な被害を受けた高田松原の中で奇跡的に一本だけ残った「奇跡の一本松」・津波の恐ろしさを後世に語り継ぐため震災遺構として保存されている「道の駅タピック45」・津波被害を受けて土地のかさ上げが行われていた陸前高田市の中心部に今年4月にオープンしたショッピングセンター「アバッセたかた」の3箇所を見学しました。
2012年の第一回時にはがれきの山だったという「奇跡の一本松」前には立派な防潮堤が作られていたり、土地のかさ上げが進んでいたりと、復興が進んでいること様子を肌で感じることができました。
「奇跡の一本松」の前では、岩手県立高田高校出身の山口直樹(3年)が部員に向け、 『当時は中学二年生で、先輩の卒業式に向けて合唱練習をしていた。自分たちは先生の判断ですぐに高台に避難した。七万本の松が次々と倒れて、街が波にのまれていくのを上から見ながら、たくさんの方が亡くなることを直感した。震災後は辺り一面がれきだらけだったけれど、そんな中で、この「奇跡の一本松」は地元民の希望であり、心の支えだった。自分もこの松のようにまっすぐ生きていきたい』と語ってくれました。
【「奇跡の一本松」】 【「タピック45」前の震災追悼施設】
バスの中では、山口と同じく岩手県立高田高校出身の伊藤智也(1年)と千田雄大(1年)も部員に向けて話をしてくれました。
伊藤
「自分が小学校から帰宅するとき、すでに防潮堤のところまで波が来ていた。本当に間一髪だった。震災後はライフラインが途絶え、生活が本当に大変だったが、支え合って過ごす生活の中で、地元の繋がりの強さを改めて感じた。陸前高田はたくさんの方々の支援のおかげで復興が進んでいる。本当に皆さんに感謝しています。」
千田
「親族や友人を亡くした方がたくさんいた中で、そういった方々がすごく明るく接してくれたのが印象的だった。その人たちのおかげで当時野球ができたと思う。明日の野球教室では今度は自分たちが陸前高田の球児の為に、たくさんのことを教えてあげられたらと思う。」
施設見学後、宿泊先のマイウスにて全員で夕食をとり、ご自身も高田高校在学中に甲子園出場の経験を持つ陸前高田市役所の村上知幸さんより、ご自身の経験談、そして陸前高田市の復興の状況についてお話を伺いました。 学校の校庭に仮設住宅が立ち並び、練習場所の確保が難しい中で震災に負けず少年野球の指導を続けてこられた村上さんのお話を聞き、野球が持つ力の大きさを改めて実感いたしました。
【村上さんによる講演会の様子】 【ピッチング指導の様子】
2日目は全員で朝食をとったのち、野球教室の会場である陸前高田市立第一中学校仮設グラウンドに向かいました。
前田部長による開会挨拶ののち、陸前高田市役所の村上知幸さんよりご挨拶をいただきました。また、戸羽太陸前高田市長からも、日本一へのお祝いと秋へ向けて激励のメッセージをいただきました。 そして弊部を代表し、陸前高田キャプテンの西口諒司(4年)が挨拶をし、「今日は皆さんのパワーに負けないよう、大学生一同頑張ります!」と述べました。
まず初めに、弊部部員によるシートノックデモンストレーションを行いました。 たくさんのギャラリーを前に緊張している選手も多くみられましたが、大学生の全力プレーに中学生は大きな歓声と拍手を送ってくれました。 その後は各ポジションに分かれ、守備練習・打撃練習を行いました。 打撃練習の前にはお手本として松﨑健造(3年)、佐々木良介(2年)、澤田俊一(2年)の3名がロングティーを披露しました。 慣れない軟球でのロングティーに苦戦していた3選手にはたくさんの声援が送られ、持ち前の豪快なバッティングをみせると中学生から大きな歓声がわきました。
【守備指導の様子】 【ロングティーデモンストレーションの様子】
練習中には「お名前は?」「声を出しながら打つと飛ぶぞ!」など部員から積極的に声をかける様子や、掛け声を作って一体感を出そうとする様子が見られ、全員が楽しい教室にするために努力していました。
後半はそれぞれの中学校に大学生が助っ人で参加し、3チーム対抗のベースランニングリレーを行いました。 グラウンドは自分のチームを応援する選手たちの大きな歓声で満たされ、中学生と大学生が一緒になって踊りながら応援するチームもありました。
最後に手塚周(2年)のピッチングデモンストレーションを行い、野球教室は終了となりました。
【質問タイムの様子】 【ピッチングデモンストレーションの様子】
閉会式では、山口直樹(3年)が陸前高田の後輩たちに向けて、 「震災直後は、野球のことを考えられないほど生きるのに精いっぱいでした。今皆さんが野球に打ち込めるのは、全国の方々のご支援、そして親御さん・指導者をはじめとする周囲の方々のお陰です。‘感謝を忘れない’という言葉はよく聞くけれど、自分は‘感謝を伝える’ことが大切だと思っています。日頃から周りの方に感謝を伝えることを忘れないでください。自分も陸前高田出身としての誇りをもって、六大学の舞台で頑張ります。」 とメッセージを送りました。
最初はお互い緊張していましたが、教室が終わるころには中学生も大学生もすっかりと打ち解け、全員記念撮影や会話を楽しんでいました。
帰り際、グラウンドから選手を乗せたバスが出発する時には、多くの子どもたちが選手との別れを惜しむように最後まで大きく手を振って見送ってくれました。
夢中で白球に打ち込む子供たちを見て、私たちが大きなパワーをもらえました。子供たちの憧れの存在であれるよう、部員一同今後とも精進してまいります。この野球教室が子供たちにとって野球を続ける糧となり、将来子どもたちの中から、弊部で活躍してくれる選手が生まれたら幸いです。
【記念品授与の様子】 【お世話になった方とともに】
今回の野球教室の開催には、立教大学、陸前高田市から、たくさんの方々にご支援、ご援助をいただきました。また、陸前高田市の皆さまが弊部のリーグ戦優勝・大学日本一を心からお祝いしてくださり、日ごろから応援してくださるたくさんの方々に支えていただいていることを改めて実感することができました。6年という月日が経ちましたが、この東日本大震災を風化させないこと、そして参加した25名の部員が188名の部員たちに陸前高田で学んだことを伝えていくことが私たちにできることだと思います。陸前高田市で学んだことを胸に、秋に向け練習に励んでまいります。
参加した部員の感想
西口 諒司(4年)
陸前高田の2日間で自分たちがどれだけ恵まれた環境でプレーをさせてもらえているかを実感できたと同時に、未だ復興が続く中でも野球を純粋に楽しんでいる中学生とふれあうことで野球が持つ力を感じることができました。次の秋が私にとってラストシーズンになりますが、もう一度チーム全員で優勝を勝ち取ることで応援してくださる陸前高田の方々への恩返しをしたいです。
篠崎 祐吾(4年)
陸前高田野球教室に参加させて頂き、6年経った東日本大震災の現状を知る事ができました。陸前高田の人々が辛い現実を受け止め、それでもなお、地域全体で前を向いて強く生きていこうとする姿や、仮設の野球場で大好きな野球をチームメイトと楽しむ中学生達に逆にエネルギーをもらいました。自分達にとっての当たり前の環境に感謝して、これからも野球部での活動に取り組んで行きたいと思いました。
小口 理仁(4年)
2年前と変わらず、陸前高田には震災による苦しみに負けず、野球を純粋に楽しみ、頑張る、心の強い子どもたちがいました。そんな彼らと野球を通じて時間を共にすることで、大きなパワーを貰うことができました。 現在当たり前に生きて、当たり前に野球をしていることは決して当たり前ではないことを改めて実感しました。そして野球の素晴らしさを実感しました。 これからは日常の「当たり前」全てに感謝し、陸前高田での経験を人生の糧として、強く生きていきたいです。
山口 直樹(3年)
土地のかさ上げ作業が進み徐々に姿を変えていく街の様子を見て復興が進んでいることを実感しました。今回の野球教室は地元での開催ということもあり、震災の話を聞く場面も多く、様々な人の支えがあって野球を出来ているということを再確認できました。野球を純粋に楽しむ子どもたちとふれあうことができ、とても良い刺激になったので、これからも前向きに野球をしていきたいと思います。
松崎 健造(3年)
野球教室に行って教えるはずが、陸前高田という地で教わる事ばかりで本当に貴重な体験ができました。 みんな終始笑顔で、野球の素晴らしさを改めて感じることができました。この経験を今後の原動力にして頑張っていきたいです。
小野 大成(2年)
今回の野球教室と被災地の見学を通して、自分たちがとても恵まれているということを痛感しました。これからは辛いことがあっても、東北にもっと大変な思いをしてる人がいるから絶対弱音を吐かないと決心しました。野球を通じて学ぶことはたくさんあります。少年達にそのことを少しでも伝えることが出来たのなら嬉しいです。貴重な経験をさせていただきありがとうございました。
小倉 大貴(2年)
まず陸前高田に着いて一番最初に、自分達はとても恵まれている環境で野球をしていることを実感しました。 自分たちは野球を教えにいく立場でしたが、現地の人達の話を聞き、子どもたちの様子をみていると、逆に教わる事ばかりでした。 陸前高田の方々にはとてもパワーをもらい、もっと自分も野球を頑張ろうと思いました。
手塚 周(2年)
このプログラムに参加させて頂く前は正直不安でした。僕たちができることは現地の野球少年たちと、一緒に野球することだけだからです。しかしプログラムを通して陸前高田の皆さまの笑顔を拝見することができ、少しでもなにか出来たのかなと感じました。今後とも微力ではあるの思いますが、自分たちにできることを自分たちにしかできない方法で行えればと思います。
伊藤 智也(1年)
多くの中学生と野球を通して交流することができてとても楽しかったです。 たくさんの笑顔を見ることが出来て、逆に力をもらうことが出来ました。 陸前高田市出身ということで今まで多くの方々に支援してもらいましたが、今回の野球教室のように、これからは自分が陸前高田市の復興の力になれるよう頑張っていきたいと思います。